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学力格差はいつからはじまるか? 学術的調査より明らかになった意外な事実の数々!

学力格差の真相



子どもの学力格差と経済格差について
専門雑誌「発達(Vol.38,2017,pp31-pp36)」の論文にいろいろと興味深い内容があったので引用し、共有します。
(特集子どもの貧困は超えられる−学力格差は経済格差を反映するか?−(内田伸子)より抜粋)

「経済格差が学力格差をもたらしている」
という説をマスコミが流しています。

また2010年7月に文部科学省幼稚園課は

幼稚園卒の子どもは保育所卒の子どもよりも成績が高い。この調査は幼児期の教育の大切さを検証した初めての調査だ」
と発表をしました。

これらを検証するため、内田氏は3000人の幼児と保護者への面接、アンケート調査から次の結論をだしています。

結果を先にお伝えしますが、詳細を知りたい方は記事を読み進めてください。


意外な結果の数々



結果1
読み書き能力の習熟度と家庭の所得*の間には関連がない
*ここでいう所得とは、平均所得691万未満を低所得、以上を高所得としています(以下同)。

結果2
語彙力については、低所得層より高所得層の方が高い

結果3
習い事をしている方が語彙能力が高い
ただし、芸術・運動系か、学習系かなどでは差がない


結果4
運動系の習い事(体操教室、バレエ、ダンス教室)に通っている子や体操の時間を設けている幼稚園、保育所の子どもの方が運動能力が低く運動嫌いの子どもが増えてしまう

結果5
先取り教育をしている幼稚園、保育所よりも子どもの自発的なあそびを大事にいている自由保育の幼稚園や保育所の方が語彙能力、読み書き能力が高い
これは、文科省の発表とは矛盾する結果となる


学術的な結論




以下、詳細です。引用部分は斜線です。

学力と家庭の所得は確かに相関があるとされています。
しかし、内田氏はあくまでも単純相関であり、因果関係を意味しているわけではないとしています。

経済格差の要因は、家庭の所得以外に、
親のしつけスタイル、文化資源(絵本や蔵書数、知育玩具や映像資料など)
や通塾経験の有無、幼児期のリテラシー(読み書き能力)の習熟度などが
関係あるのではないかという仮説から
3才〜5才の幼児3000名に臨床面接調査と
その保護者に家庭の所得や早期教育への投資額、親の学歴、しつけスタイルについてのアンケート調査を行いました。

結論
リテラシー(読み書き能力)習熟度と家庭の所得に関しての相関は有意ではなく、関連がない
・知能テストの代替として実施した語彙検査の結果は所得層との関連が有意であり、高所得層の子どもの語彙得点は低所得層より高い
・語彙得点と通塾経験の有無では、習い事をしているか否かで語彙力に差が見られた
 ただし、芸術・運動系か、進学塾や英会話塾など学習系かには差はない。また、教育投資額とも関連が有意であった
・運動能力調査の結果、体操教室やバレエ、ダンス教室に通っている子や体操の時間を設けている幼稚園、保育所に通園している子どもの運動能力が低く運動嫌いの子どもが増えてしまうことが明らかとなった
 その原因を調べた結果、子どもの主体性を無視した指導者の強制的な指導や訓練により、運動嫌いの子どもが増えることがうかがわれた
・語彙得点は、幼稚園か保育所かの園種の差ではなく、保育形態の差が有意であることがわかった
 つまり、「子ども中心の保育」(自由保育)に通っている子どもの方が文字や計算、英会話などを一斉保育で教えている幼稚園や保育所に通園している子どもよりも語彙が豊かであるという結果が明らかになった
 すなわち、小学校の教育を先取りして学習を導入している一斉保育の幼稚園や保育所に比べて、子どもの自発的な遊びを大事にしている自由保育の幼稚園や保育所の子どもの語彙得点は高い
 これは、文科省の発表とは矛盾する結果となる
 理由は、読み書き、計算は子どもの自発的な必要から遊びの文脈にもちこまれるものであり、大人からトップダウンに教えても覚えられるものではなく、自発的な遊びを通して読み書きや計算の意味や意義を感得していくものである。


つづきます。
次回はしつけのスタイルがこどもの人格形成やいわゆる社会的な「成功」にどのような影響を与えるかについてまとめたいと思います。