時を経た思い出と価値。
昭和の職人さん
大正生まれ御年95歳の祖母から
譲り受けた腕時計があります。
手巻き式の腕時計と懐中時計。
その昔、祖母が若かりしころ、
銀座の有名な時計店で購入したものらしいです。
大事に大事につかい、
いっしょに歳をとっていた時計だそうですが
いつのころからかうごかなくなり、
もうしばらく経ちます。
この時計を修理したくとも、
修理にだせるお店がありません。
数年前、阿佐ヶ谷にある
中村時計店にもっていったことがありましたが、
腕利きの職人さんが病気療養中のため、
修理がむずかしいと言われてしまいました。
先日、思い立って、調べてみたら
75年以上の歴史ある中村時計のお店が
この秋に店じまいをしたそうです。
技術のある昭和の職人さんたたちが
どんどんリタイヤしてしまっているという現実。
瀬戸内の島に時計の名医がいるそうです。
ほかの時計職人なら匙を投げる、
難しい修理もしてくれるというので、
“時計の名医”として全国に知られています。
今を刻む時と思い出に残る時計
時計の名医いわく、
時計いうものはね、その周りについとる思い出があるわけ。そういう時計はね、お金では買えんものなんです。お金で買えんものは捨てられんわけ。 ほしたら直して使いたい気持ちが起きるでしょう。ほいじゃから、捨てられない時計がいっぱい残っているということ、日本にね。それを直す人がいたら、来るじゃない。そう思わん?
この時計が修理できれば、平成生まれの娘に譲ろうと思って
修理を依頼することにしました。