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「待機児童0」は役所のさじ加減ひとつ?待機児童0への道。

 
「待機児童0」は役所のさじ加減ひとつ?
 
待機児童は所詮、
数字のマジックなのだと知ったのは
横浜市が待機児童0を達成したとき。 
 
2010年当時、1552人という全国の中でも
最多の待機児童を抱えていた横浜市は、
その3年後の2013年、
待機児童ゼロを達成し、
横浜市は世間の注目を集めました。    
 
が、ふたをあけてみると、
横浜市の定義する
「待機児童」=「保育園に申し込みをしても入所ができない児童」
ではなく、
保育園に入園を希望していても、
育休中、一時保育や幼稚園のあずかり保育を
利用しているといった場合には、
「待機児童」には
カウントしないという
独自ルールに則ったもの。
 
年度途中、認可保育園の入園を
切望しながらも叶わず、
一時保育使って、綱渡り状態で
復帰していた私からすれば、
私こそ「the待機児童」なのに、
一時保育使って復帰していたら、
「それはもうあなたは待機児童じゃない」
なんて言われたら憤慨ものですが。
 
このため、「待機児童ゼロ」を
達成した横浜市でも、
実際には多くの「隠れ待機児童」がいる
とされました。
 
そうはいっても横浜市
全国に先駆けた先駆的取り組みは素晴らしい。
 
市長による改革で、
認可保育所を増やすのはもちろん、
幼稚園の預かり保育や一時保育といった
保育サービスの拡充、
預け先に関する保護者の相談に応じて
多様な働き方に合った保育サービスを提案する
「保育コンシェルジュ」の配置など、
独創的な取り組みには、
市の待機児童0に向けての
意気込みを感じます。
 
現在では保育士不足への懸念や
保育士の人材確保にむけた
「保育士確保コンサルタント」事業も
手掛けているそうで、
時代の流れを機敏に察知して
実践する手腕は素晴らしい。
 
「待機児童0」への第一歩
 
待機児童0への道を考えてみました。
立場や考えが変われば
賛否両論あると思いますが、
個人的考えです。
 
カギは一時保育の活用方法だと思います。
そして、
  • 育休3年の延長
  • 育休中上の子退園ルールの撤廃
  • 男性の育児休暇の取得推進
  • 一時保育枠の拡充
 をあげます。
 
 
育休3年はひとつの選択肢
 
まず、育児休暇3年までをすべての企業でみとめること。
 
育休を3年とるべき、
ということではなく、
育休を取りたい人が
産後2ヶ月〜3年の間で
育児に専念する期間を選べるよう
選択肢の幅を増やすこと。
 
数年前に政府が育休3年延長
「抱っこし放題」プランを
打ち出したときに、
企業側はじめ働く親からも、
育休を3年もとったら
ブランクがあくとの理由で
強い反対意見がありましたが、
個人的に言いたいのは
選択肢を増やすというだけ。
 
キャリア形成や家族計画も含めて
2ヶ月で復帰したい人、
半年で復帰したい人、
1年で復帰したい人、
2年で復帰したい人、
3年の育休を取りたい人、
それぞれがそれぞれのタイミングで
復帰すればよい。
 
そして、育休退園ルールの撤廃。
現在、多くの自治体で、
上の子が保育園に在籍していて
下の子の育休に入った場合、
下の子が満1才、
(もしくは満1才になった次の4月末までの)
タイミングで育休を明けていないと
退園しなければいけないという
条件があります。
 
以前、所沢でおきた上の子育休退園について
抗議の声をあげた親のニュースが
話題になりましたが、
これもこの退園ルールがあったからでしょう。
 
(詳しくは、所沢市の保育園で、0〜2歳の子どもを預けている家庭に次の子が生まれ、親が育児休暇を取得した場合、在園している上の子も退園しなければならないという制度が適用され、それに対し、育休中の保育の実施解除差し止め請求を起こし、退園させないよう市に求めたもの。)
 
私からみても、
親たちの意見は至極まっとうであり、
当たり前のことです。
 
上の子が退園になってしまったら、
育休明けに再度、保活をしなればいけないのに
入園できる保証もない、
兄弟同園になる保証もないなど
リスクが高すぎます。
 
育休中だから上の子も保育できるだろう」
という安易な理由で
退園させられるようなことが
あってはいけないと思います。
 
上の子は下の子の育休期間に関わらず
在園できるルールにするべきです。
 
現在のルールでは、
上の子が退園にならないために、
逆算して下の子の育休の取得期間を
調整しているケースが多々みられます。
 
具体的には、(上の子が退園にならないよう)
下の子が1才(もしくはその前)のタイミングで
確実に入園できるようにするために
(定員枠の多い)0歳児クラスに
入園希望をだす割合が極めて高い。 
 
この退園ルールがなければ、
下の子の育児にある程度専念したいと
思っている場合、
0才児クラスへの入園をやめて
2才まで育休、
3才まで育休、
といった選択肢がうまれるわけです。
 
下の子の育休を長めに取得して
育児に専念したいと思っている場合、
0才児クラス、
1才児クラスで保育園入園を
希望しないため、
その枠に空きがうまれます。
 
ここで
「育休3年もとったらキャリアにブランクがあく」
という声が聞こえてきそうです。
 
では、育休3年というのは、
果たして国際的にみたら
長いんでしょうか?
 
厚生労働省「海外情勢白書世界の厚生労働2004」によると、
スウェーデンの育休期間は、こどもが8才になるまで両親あわせて480労働日という形態。
 
フランスでは、①1〜3年休職(原則として満3才まで取得できる、うち12ヶ月を3才〜8才までの間に分割して取得可能)、②パートタイム労働への移行、③職業教育を受けるのいずれかまたは組み合わせ
 
ドイツでは、両親あわせて最長3才までとなっています。
 
北欧では、0才児保育の制度はなく、
ほとんどの0才児(スウェーデンでは1才半)
家庭で親に養育されています。
 
フランスでは、3才未満児の約6割、
ドイツではほぼ100%が家庭で
親に保育されています。
  
このように育休期間を国際的にみると
日本は他の国と比べて、
育児休業の期間が短いといえます。
 
(日本もこれらの国のように
3才まで親が保育するべきだと
と言いたいのではなく、)
3年(もしくはそれ以上)という
育休を取得している上記の国々の
女性の活躍、女性のキャリアに注目すると、
ジェンダーギャップ指数*
女性管理職比率**などをみても、
上位はアイスランド
北欧諸国であり、日本は
圧倒的に下位(110位/144国)に位置し、
職場での女性管理職の比率をみても、
日本は12%と主要7カ国(G7)で最下位。
 
つまり、日本よりも長い育休(3年〜8年)を取得している
北欧はじめヨーロッパ諸国では、
日本よりもジェンダーギャップ指数も
女性管理比率も上位であることがわかります。
 
ということは、
一概に育休期間が長いと
キャリア形成に支障をきたすとも
言い切れないのではないだろうか
という疑問がうまれます。
 
では、育休期間以外に、
スウェーデン、ドイツ、フランスと
日本では何がちがうのか?
それは、これ、
男性の育休取得率。
スウェーデンが約90%(2012)
フランスが約70%(2013)
ドイツが27.8%(2011)に対し、
日本は5.14%(2017)。
 
圧倒的に男性の育休取得率が低いことがわかります(つづきます)。
 

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*ジェンダーギャップ指数とは、各国の社会進出における男女格差を示す指標。世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表しているもので、経済活動や政治への参画度、教育水準、出生率健康寿命などから算出される。
ジェンダー格差が少ない上位は、アイスランドノルウェースウェーデンフィンランドその他、フランス12位、ドイツ14位、英国15位、カナダ16位、米国51位、イタリア70位で、日本は国会議員・官僚・企業管理職などで格差が大きく、2018年は144か国中110位。
 
**国際労働機関(ILO)は7日、2018年に世界の管理職に占める女性の割合は27.1%だったとする報告書を発表した。ゆるやかに上昇しているものの、職場での男女格差は依然大きい。日本は12%と主要7カ国(G7)で最下位。女性のリーダー層への登用は遅れているhttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO42179640X00C19A3EAF000/