ワーママのミカタ

ワーママの見方と味方。ハレてもケでも子育て。

道徳を「どう解く?」

  

深淵の思考
 
こどもに関する教育関係の本は多数あります。
 
最近の本屋さんには齋藤孝氏の
本がうず高く積まれています。
ちょっとまえは松永暢史氏も多かった印象。
 
両氏の著書は数冊読んだことがありますが、
著書を多数書かれるようになってから、
タイトルに「!」が多く並ぶ印象を受けてからやや疎遠に。
 
そんななか久々に夫婦で感心した良い書に
出会いました。
 
そのタイトル、「どう解く?」。
 
これは「道徳」にかけての「ドウトク?」
 
 
「道徳」とは答えのない問いであり、
こどもにとってもおとなにとっても永遠の問です。
あとがきでこう書かれています。

 

私たちが、この本をつくるきっかけになったのは、
メディアでたびたび目にするこどもたちのニュースでした。
いじめをはじめとるす、暴力、殺人、自殺。
それらの報道に触れるたび、子を持つひとりの親として胸が痛みました。
(略)
相手の立場になって考えること。
他者を思いやること。そして必ずしも答えはひとつでないこと。
そんな多様な視点で物事を判断するチカラが、
いまの子どもたちから減ってきているのではないかと考え、
この「答えのない道徳の問題 どう解く?」が生まれました。
 
そしてこの本では子どもとの対話を大事にしています。
たとえば、いじめについて話すとき。
多くの人は「いじめられていない?」
「むしろいじめていない?」と聞くでしょう。
けれど、たいていの会話はそこで終わってしまいます。
大事なのは、なぜいじめがよくないのか、深く考えることなのに。
 
「どう解く?」ではそんな答えを出すことが難しい問題に対して、
カンタンな絵と言葉の組合わせで、会話を生み出しやすくしています。
(略)
子どもが能動的に考えて、自分なりの答えを導き出す。
その姿勢が、これからの時代を生き抜くチカラにつながると思うのです。
(略)

 

 
問は一言では答えられない、
そして立ち止まってしまう質問ばかり。
 
例えば、
びょうどう、どう解く?」では
 
賛成3反対37
多数決をしたら、ボクの意見は通らなかった
人数が多いほうが、正しいって
どうして言えるんだろう?
 
せいぎ、どう解く?」では
今日もお母さんに怒られた。
人を殴っちゃだめ、って。
どうして正義のヒーローは、
悪者を殴っていいんだろう?
 
いのち、どう解く?」では
標本って、
昆虫で作られている
ものが多いなあ
蝶々を殺して、
ネコを殺しちゃいけないのは、
どうしてだろう?
 
らしさ、どう解く?」では
ズボン、Tシャツ、ジャンパー。
考えてみれば、洋服っていろいろな
種類があるなあ。
女の子はズボンもはくのに、
どうして男の子はスカートをはかないんだろう?
などなど。
 
こういった問に考えるヒントをくれる大人たち。
f:id:wamama-mikata:20200829142141p:plain

www.amazon.co.jp/

 
このヒントにキラリとひかる言葉が
詰め込まれていて、
女の子はズボンもはくのに、
どうして男の子はスカートを
はかないんだろう?
のヒントには、
ミッツマングローブさんだからこそいえる
視点だなと唸ります。
 
私だったら、この問いには
「好きだったらはいてもいいんだよ」
で終わっちゃいそう。
うじゃないんだね、もっと奥の深い深淵の思考にたどり着くには。
 
ついていい嘘と、
ついちゃいけない嘘って
どう違うんだろう?
のヒントには、
詩人の谷川俊太郎さんが、ヒントをくれる。
『うそをつくきもちはほんとうなんだ』というのは、ぼくが書いた詩の一行。(略)・・・嘘をつかずに生きていくことは誰にでもできないのだから、嘘を自覚しながら嘘といっしょに生きていこう。
 
この言葉に嘘はない、と感じるヒントです。
 
本当の答えは自分の中にあって
その答え合わせはきっと一生できない。
 
けれど、立ち止まって考える。
 
わからないことを話し合える。
 
そんなきっかけにできる本だと思う。
 

f:id:wamama-mikata:20200830141442j:plain