ワーママのミカタ

ワーママの見方と味方。ハレてもケでも子育て。

性教育はアイデンティティを確かめること。

 
生と性を感じるおすすめの絵本
   

 

この本にでてくる 海くんは
このぼくを生きていきたい
という強い志をもつ男の子です。  
 
実は、海くんのお父さんは亡くなり、
おじいちゃん、おばあちゃん、
お母さんに育てられるのですが、
海くんは、自分のルーツを知り、
 
とうさんとかあさんで ぼくというにんげんをつくってくれた
 
ということを知ります。  
 
 
 
あとがきで、著者はこのように言っています。

 

「ぼくはどこから生まれたの」という世界中どこの国の子どもも、成長過程で聞く問いからスタートします。 あなたはお子さんから、この質問がでた時に、きちんと答えられますか? この問は、こどものアイデンティティ(正体)を確かめることなので、決して親はいいかげんに扱ってはいけません。 「君がなぜ、ここに生きているか」をこの絵本のように、正確に自信をもって語ってみると、子どもはすんなりとまじめに、聞くものなのです。親にとっては、性器や性交はリアルな話に見えますが、子どもにとっては未知のロマンの世界なのです。決して、いやらしいとかエッチと思わないから「どうして」と聞いてきたのです。むしろ、その時の親の反応で、子どもたちの体や性についての見方と感性がつくられていきます。子どもだって知りたいのです。自分のルーツを知ることによって自分の価値に気がつくのです(「この本をよむお母さん方へ」より)。 

 

 
この本には、性交の描写が3枚あります。
 
精子卵子が結びつくために、
性交をするという極めて自然な営みを
いたってシンプルに描いているので
決していやらしさはありません。
 
海くんは、お父さんが死んだとき、
とても悲しかったけれど、こう言います。
 
とうさんはとっても たいせつなものを のこしてくれた。 
それは ぼくという にんげんのいのちだ
 
とうさんののこしてくれた このぼくを ぼくはいきていきたい 
 
愛あふれる性と生のメッセージに熱くなる一冊です。

 

 
【わるい人から身をまもる】親ができる備え
 
 
本当に本当に残念なことですが、
こどもが被害にあう事件が
なくなりません。  
 
ニュースでこどもが被害に
あったという事件があると
自分のこどもの年齢に重ね合わせ、
そしてその親の心を想像すると
胸が苦しくなります。  
 
デパートで迷子になったら・・・
知らない人から「おかあさんがよんでるよ」って言われたら・・・
からだをさわられたとき・・・  
 
そんなときどうしたらいい?  
 
こどものまわりの
「ほとんど」の大人は
悪い人ではないけれど、
ほんのひとにぎりの
「悪い人」がいるという
現実をこどもに
伝える必要があります。
  

 

 
 
著者は、アメリカの教育家であり、
子ども達に、誘拐や性被害が
ある事を知らせ、
いざという時自分で判断し、
危険な状態から逃げる力を
つけるという目的で
作られた絵本です。  
 
ちいさいこどもは、迷子になったときには へたに動かずそこにじっとしていること、
子ども連れの家族や、あかちゃんを連れているお母さんに声をかけると
助けてくれる可能性が高いこと、     
また、自分ひとりで留守番をしているときに チャイムがなっても決してドアを開けないこと、   
 
そういうことを 
「知っている」と「知らない」では
身にせまる 危険への対処法がちがいます。  
 
著者のあとがきにこうあります。
 
ぜひ、覚えていてほしいのは、こういった事について、 親と会話できる子は、被害にあいにくく、自分を守れる子どもだということです。 親子で話をする材料に、どうぞこの本を活用して下さい。

  

 

この絵本は絵本棚の
こどもの目につくところに
置いてあります。
 
こどもといっしょに何度か読んでいます。    
 
そして、わたしは
何かあったら おとうさんとおかあさんに話してね、
あなたは何もわるくないんだ
ということも同時に伝えています。

将来の年金額 How much? 時短ワーママさん、将来年金がお得になる手続きしてますか?

 
将来の年金How much?
 
将来の年金額を、
ネットでシミュレーションできると知り、
さっそく、私もやってみました。
 

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必要なIDを取得するために、
ねんきんネットのHPで
基礎年金番号やメアドなどの登録をして、
4日ほどで1枚のハガキが
おくられてきました。  

わくわくしながら
ハガキに記載されているIDからログインして
「かんたん試算」をクリック。  
 
ちなみに、
学生時代、20歳〜24歳(卒業)まで
親が国民年金を納めてくれており(多大なる感謝)、
新卒の25歳から約15年間厚生年金を支払い済(未納なし)、
 
受給予定年金見込額、 
 
月額140,541円  
 
ですって。  
 
「予想していたより高い」
って思っていいのか、
14万ちょっと。
なるほど〜ですね。  
 
多いのか少ないのかもわからなくなってきた今、
わかっていることは、
年金だけに期待してはいけない、ということ。
 
時短ワーママさん必見の年金みなし措置
 
ちなみに、ワーママのみなさんは
ご存知の方も多いと思いますが、
厚生年金には
養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
というものがあり、
 
(1)次世代育成支援の拡充を目的とし、子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みが設けられたものです。  
 
 

https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/dl/tp0701-1y_0007.pdf

  
簡単にいうと、
時短とるとお給料が減っちゃうよね、
でもそれにあわせて将来の年金も
減ってしまうのを助けようと
こどもが3歳までは育休前と同様の
勤務形態とみなして、
年金額を算出してもらえる、
というとてもありがたい制度です。
 
何がお得かというと、
育休前に30万のお給料をもらっていたとしましょう・・・
その場合、納める厚生年金保険料は27,450円になります。
(注:全額は54,900円のところ、会社と折半して個人負担額が27,450円)
 
育休後、時短になって
お給料が例えば30%減の
20万になった場合・・・
納める厚生年金保険料も応じて減額になり、
その額18,300円。
 
そうすると、将来の年金額も
この18,300円を基礎に算定されるので、
育休前のお給料(30万)のときより
低くなってしまいます。
 
この時短勤務でお給料が
下がる期間(こどもが3才になるまで)、
育休前と同じ厚生年金保険料である
27,450円を納めたとみなして、
年金額を算定しよう、という制度。
 
27,450円-18,300円の差額の9,145円を
払っていることにみなそう、
という制度がみなし措置なのです。
 
これは時短ワーママに(もちろん時短パパにも)
やさしい制度ですよね。
 
わたしもこの制度のおかげで、
育休後、時短勤務を続けていますが、
みなし措置が適用されて、
育休前の厚生年金保険料で、
将来の年金額が算定されております。
 
ただ、この制度の注意点、 
そ・れ・が、本人の申し出による
ということです。
 
これは本人が
「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」
を会社経由で年金機構に申し出をすると適用される制度です。
 
ですので、申し出をしないと適用されない、
という、申請主義のお役所あるあるの
なんとも不条理な制度。
 
必要な添付書類は  
 
1.戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書  
2.住民票   
 
です。
 
復帰して、時短をとっているワーママのみなさん、
会社にこれらの書類を
提出した心当たりのない
時短ワーママさんは要確認です。
*時短を取得せずに、育休前とおなじ勤務時間の場合は対象とはなりません。   

【小学校入学】先取り教育よりも大事だと思うこと。

 
先取りよりも復習
   
小学生のこどもがふたりいます。
独断ですが、これまでの経験を振り返って、
小学校入学して大事だと
思うことを書いてみます。  
 

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まず、先取り教育、
これに時間を費やすよりも復習、
つまり、宿題のフォローに
時間を費やすことをおすすめします。
 
いまどきのこどもたちは、
小学校入学前からひらがなやカタカナが
できることが多いですが、
学校に入学すれば、
ひらがなから丁寧におしえてもらえます。
 
だから、焦って、
入学前にひらがなだけでも覚えておかないと!
と思うことはないと思います。
 
でも楽しみながらできるに
越したことはないので、
例えば、あいうえおスタンプでお手紙つくるとか、
自分の名前を書けるようにするとか、
そのくらいで十分だと思います。
(年中の次男は、保育園で、ひらがなスタンプを使ってお手紙を書いてくれます)
 
もし、先取りに時間を割くのならば、
ひらがなよりも、カタカナだと思います。
 
ひらがなは、学校の授業では
1日1文字〜2文字のひらがなの
書き順を本当に丁寧に教えてくれるのに、
その進度にくらべたら、
カタカナの授業なんて、あっという間。
 
ひらがなの教える速度が各駅停車なら、
カタカナは新幹線くらいの
体感の差があります。
 
ひらがなって、絵本だったり、
看板だったり、名前だったり、
いろんなところで目にする機会が
あるから自然と覚えることもできますが、
カタカナって、なかなか日常生活で
触れる機会がないですよね、
 
だから、カタカナのフォロー大事です。  
 
でもこれも本当に、無理のない範囲でいいと思います。  
 
先取りよりももっと大事にすべきことは、
宿題のフォローです。
 
宿題を1日10分でも、
フォローできていれば、
こどもが授業についていっているか、
どこでつまづいているかすぐに気づけるので、
その時々でフォローできればいいと思います。
 
ちなみに、よく言われる
宿題の時間の目安は、学年です。
 
例えば1年生なら10分間、
2年生なら20分間、
3年生なら30分間。
 
小学校入学後、
1年生の10分間くらいだったら
忙しいワーママでも
なんとか時間を捻出できると思います。  
 
そして、先取り学習よりも家庭ですべき備え、
それは時計の読み方。
これは、今日からでも実践できるので、
早めに取り組むと、後々楽です。
 
参考記事  
 
 
朝じかんを有効に
 
働きながら、そしてなおかつ
下に小さな兄弟がいるなら
なおさら子どもの小学校入学後の
フォローってなかなか大変。
 
帰宅後の夕方から、ごはんの準備、
おふろの準備、いれさせて、歯磨きさせての
分刻みのなかで
その間に宿題を丁寧に見守るのは、
ほぼ罰ゲームに近い理不尽さがあることを
私は身をもって知っています。
 
そんな、わたしが実行してよかったのは、
朝じかんの勉強。
 
下の兄弟たちが寝ている間に、
ちょっとだけ15分くらい早起きさせて
いっしょに朝、ワークをするという方法が、
かなり良かったです。
 
下のこどもたちも寝ているので
邪魔されることなく、
また自分も朝に家事の合間にみられるので
負担がなくできました。
 
小学校の1年生よりも
2年生になると、
とたんに漢字もむずかしくなってくるので、
親のフォローは継続して
必要にはなると感じますが、
1年生のうちは、特に前半は、
勉強というよりも、
忘れ物がないか、明日の準備がしっかりできているか、
などのフォローが必要ですね。
 
お役立ちグッズもしっかり準備すると後々楽です!
そして行き帰りの登下校の道順の下見も忘れずに!

 

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中学受験塾への不信感と高校受験の絶対評価のデメリット。

 
塾もいろいろ
   
先日、 長女のお友達のママで
お友達のお兄ちゃんの高校受験が
無事終わったママと立ち話して
いろいろと考えさせられたことがありました。
 
一言で言って、
高校受験、内申が大変だわよ〜〜〜
とため息混じりの感想でした。  
 
よく聞く、高校受験の内申点が大変問題。
 
地方の高校受験と
都内の高校受験って
そもそも仕組みがちがうの?
それとも時代なの?
 
知識がなければ経験もないとなると、
経験談がすごく頼りになります。
 
そのママ曰く、
都立高校受験は内申点の占める
割合が高いから、
評定が「1」違うだけで結果にも
大きく左右されるという。  
 
そのお兄ちゃんは晴れて
第一志望校の高校に入学したのですが、
そのママは、高校受験がとっても大変で
考えさせられることも多かったから、
妹には中学受験も考えている
ということを話していました。  
 
お兄ちゃんは、
e○aに通っていたけれど、
塾の対応への不信感から
転塾したらしい。  
 
e○aを辞めた理由は、
(一部の地頭のよい秀才たちには
適した進度、内容かもしれないが)
フォローが手薄すぎて半年で辞めた、と。  
 
うちも、2ヶ月でe○aを辞めた身、
私の感覚も近いものがあったので、
塾への不信感をもっている親は
意外と多いのかもしれないな
なんて感じた。
 
高いお月謝払っていれば、
それに見合うペイがあるのか
見極めるのは親の役目でもあります。  
 
不信感をもちながらも
つづける選択肢もあれば
辞める、または転塾するという
決断をする親もいれば、
ここまで頑張ったんだから
結果がでるまで、あと少し続けてみよう
と信じて疑問に思いながらも
通い続けるという選択肢もあるわけで、
こどもに適した塾選びって
なかなかハードルが高いのかも、
と感じたわけです。        
タイトルの絶対評価相対評価ですが、
高校受験で大きく影響する通知表ですが、
(通信簿といったり、あゆみといったり、)
高校受験は通知表の評価が
内申点として大きな割合を占めるようです。  
 
その、通知表が、「絶対評価」だと知っていましたか?
 
わたしは、長女が小学校に入学して
はじめて通知表が
絶対評価」になっていることを
知りました。
 
調べると2002年のゆとり教育から導入され
絶対評価」にかわって
きているようです。
 
そう考えると、もうずいぶんと
前から絶対評価なんですね。
 
私が、小、中、高のときには
もちろん、相対評価
 
5段階評定でいえば、例えばですが、
評定5が5%
評定4が15%
評定3が60%
評定2が15%
評定1が5%  
という風に、集団のなかで
比較するのが相対評価
 
一方の、絶対評価は、
集団と比較されることなく、
個人の学力のみで評価されること。
 
例えばですが、相対評価では
生徒の評定が「5」の生徒も、
「1」の生徒も一定数いますが、
絶対評価になると、
「5」や「1」がいないという
ケースもあるのです。
 
また、極端に言えば、
全員が同じ評定というケースも
ありえるのが絶対評価です。
 
小学校に入学して担任から
通知表は、「絶対評価」であると
評価方法をはじめて聞いたときには、
他者と比べることなく個人の力を
評価してくれる絶対評価は、
とてもよいと単純に思ったものです。  
 
が、高校受験を経験したママは、
絶対評価がいいとはいえない、
と言っていました。
 
その理由は、評定を3→4にあげるのは
本当に大変であること、
集団と比較しての評定ではなく、
個人の能力が基準となるため、
1段階あげるための基準が曖昧、
評定「3」の生徒が多すぎて、
同じ評定「3」でも学力の開きがあるのに、
点数化してしまうとみえにくいこと、
などをあげていました。
 
なるほど〜とうなずきながら
聞いていたものの、
まだまだ高校受験なんて未知すぎて、
わからないことが多すぎ!

夫が淋しそう。女の子の成長におすすめの本。

 
夫と娘
   
夫がね、
淋しそうなのですよ、最近。  

何が淋しそうって
夫婦の間ではなくて、
娘との間。  
 
10才になった娘。
先日、学校でも2分の1成人式を
むかえた娘。  
そんな娘は、もう、今どきの女子です。
 

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ファションにもこだわりがあって
文房具もこだわりのキャラクターだったり
髪型もおしゃれして
私と同じ美容室でカットしているし、
ちゃおを読んで、
乙女心や恋愛を楽しんでるし、
「シャーシン買って」って言ってくるから
「なんの写真?」って聞き返したら、
「シャーペンの芯だよ、
シャーシンっていうでしょ」
って言い出すし、
何から何まで女子に向かっています。  
 
そして、それに比例して徐々ですが、
父親との距離が離れつつあります。  
 
もちろん、父娘の関係はいたって
良好なのですが
例えば、休日に洋服や雑貨などの買い物に
行くようなとき、
「お父さんとは行かない。お母さんがいい
といって父を拒否するようになりました。
 
夫が休日にが「公園行こう」って誘っても
「公園、行きたくなーい」と
素気無い返事をする始末。
 
もう、10才娘は父と公園なんか
行かない年頃なのか。   
今まではどこへいくのもなんでも
「いっしょに行く〜」だったのが、
「行かない」という選択肢もでてきて
誘っても断られた夫が傷心。  
 
結果、夫が淋しそうなんです、最近。  
順調な成長と思って見守っている母です。  
 
夫、傷心をかくせず、
最後の手段、
「ディズニーランド行こう」
と言い出す始末。  
 
もちろん、娘、
行く!行く〜!」です。

 

学校にて性教育
   
学校で性教育の授業があったようです。
 
いっしょにおふろにはいっていると、
娘が「精子」と「卵子」って教えてもらったよ、
と話しかけてきました。
 
こういうときのリラックスできる
おふろタイムは重要だと感じます。
 
もちろん、わたし、
とにかくあかるい性教育を学んで、
日々、勉強中ですので、ほいきた!と思って、
いろいろお話しました。
 
 
いろんなブログを読んで
おすすめされている本を
いくつか図書館で予約して、
ピンときたものはうち用に買って、
さりげなく本棚にいれてあります。 
 
 
 
 
 
 
 
10才の娘にはこの
「13歳までに伝えたい女の子の心と体のこと」
はとてもよみやすくわかりやすく、
心と体のことが書いてある本です。
 
女の子風の書体だったり、
かわいらしいイラストがはいっていたり、
なんといってもマンガからはいれるので、
ちゃお好きな娘はすぐに手をとりました。
 
生理や体の変化がわかりやすく書いてあり、
イラスト付きでナプキンの付け方や、
ナプキンを持ち運ぶ方法まで!
母には気が回らない部分にまで丁寧に解説。
 
ハンカチに包む方法だったり、
スカートの内側にポケットをつける方法だったり、
「生理のときは黒や紺など、色の濃いスカートにしようね」
といったプチアドバイスまで。
 
この本には、ハピうさという謎のうさぎがでてきて
「生理と友だちになれる前向きな言葉」や
「人を好きになるってどんなこと」
というメッセージもあたたかい。
 
そして、プチ知識が満載。
 
「ブラジャーっていつからつければいいの?」
「ムダ毛のお手入れ方法」
「生理のときにやってはいけないこと」
「女の子でいることがつらい〜性同一性障害について〜」
にも触れています。
 
娘にもかゆいところに
手が届くアドバイスばかりで
参考になりますが、
はっきりいって
が大変、勉強になった一冊でした。
おすすめ

【学力の経済学】読書後の学びメモ。

 
読書後の雑感とともに
 
読書後の個人的感想です。
 
 
 
「教育にエビデンスを」という
一貫した視点から分析される
論点はどれも興味深かった。
 
ただし、個人的感想として、
エビデンスも大事だが、
経験則も大事よね、
やっぱり両方の視点を
もちあわせていることが最強、
という結論に至った。
 
だからOママのような
教育専門家の提言も、
エビデンスから導き出される
教育経済学者の著者が提言する
ことも自分にとって
両方いいとこどりするのが、
子育てにはいいのではないかと
思った次第です。
 
以下、本著の雑感。  
 
「教育にいつ投資すべきか」という疑問に対して、研究と多くの経済学者の一致した意見から幼児教育がもっともリターン(収益率)が高いことがわかり、研究結果でもデータが立証している。
 
ただ、これはアメリカの研究であり、日本でそのまま結論があてはめられるのかについては、検証されておらず、疑問残る。
 
そして、幼児教育で、週5日2時間半の読み書きをしてもIQで差がつくのは、グラフ(p85図17)をみると4〜5才をピークに徐々に差がつまり、8才で差が消滅してしまうという結果も印象に残った。
 
4〜5才での早期教育は、その時点ではIQに差がつくが、小学校入学後の小学2年生を堺に、ほぼ差がなくなってしまうということである。
 
この結果は、幼児教育を推し進めるうえで、見逃してはならないデータだと感じる。
 
このことは、読み書きに代表される幼児教育(先取り教育)を4〜5才の時点で、時間と労力をつぎ込む価値があるのかを親は考えておく必要がある。
 
この研究では、質の高いプログラムは、その後の学歴、年収などの面で差がつくという結果にもつながっているので、幼児教育そのものを否定することではないが、子どものどの能力を伸ばしていくかを考えたとき、限られた幼児期に親がどの部分に注力すべきかは、親自身のぶれない視点が必要だということ。
 
また、著者は、非認知能力の重要性を説いており、これは一般に「生きる力」といわれるようなものである(注:「生きる力」とは、1996年に文部省(現文部科学省)が、問題解決能力や自制心、協調性、思いやり、豊かな人間性などの全人的な資質や能力を指す言葉として用いた)。
 
特に非認知能力のうち、「自制心」「やり抜く力」をあげている。
 
自制心とはSelf-control。意志力が強いこと、精神力が強いこと、と関連する。
 
Self-controlは障害者福祉の分野でも研究されており、それらの知見も参考にしたいところ。
 
「やり抜く力」はダックワース准教授の言葉を借りると「非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けること」(p91)。
 
著書の中で、幼児教育の重要性を示しながらも、幼児期にこの能力をどのように伸ばすかについて、あまり言及がなかった点は残念であり、消化不良。これは、現場経験が少ない経済教育学者の限界か。
 
これらのことについては、やはり、子育ての専門家などの提言も参考にしたいところ。
 
著者は、自制心を鍛えるためには、「細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理する」ことが有効であるとする研究結果を示しているが、幼児に果たしてそれができるのか、もし、できるのならばどのような手助けが必要かに言及していないのが残念。
 
一方の「やりぬく力」については、「心のもちよう」が大切であるとし、「自分のもともとの能力は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる」ということを信じる子どもは「やり抜く力」が強く、実験で、そのようなメッセージを伝えられた子どもたちは、成績も改善されたという結果が出ている(p94)。
 
このことは、子どもへの声かけや心のもちようをどのように示すかというときのヒントになると感じた。
 
要は、ステレオタイプを植え付けてはいけない。マイナスの声掛けではなくプラスの声掛けが必要ということ。  
 
ただし、プラスの声掛けの際に留意すべき点として、「褒めて育ててはいけない」との解釈との兼ね合いにも留意すべき。    
 
 
 
原因と結果、すなわち因果関係を明らかにすること。
 
出来事の関係性を示すときによく「相関関係」と「因果関係」という言葉が用いられるが、これははっきりと区別して解釈しなければならない。
 
時に混同され、誤った解釈がなされる場合がある。
 
「因果関係」とは「Aという原因によってBという結果が生じた」
「相関関係」とは、「AとBが同時に起こっている」ことを単に意味している。  
 
一例として、学力と家庭環境の関係性について「親の年収や学歴が低くても学力が高い児童の特徴は、家庭で読書していること」という文部科学省の学力テストの結果を→「子どもに読書させることが重要だ」という報道は正しくはない。
 
「読書する」ことが原因で「学力が高くなる」という結果がもたらされているかは、データからははっきりしていない。また、読書にも学力にも影響するような「第三の要因」について考慮されていないため。  
 
 
ご褒美で釣ってもよいとは
 
ご褒美で釣っていけないのか?に対する著者の答えは→ご褒美で釣ってもいい。
 
人間は、「今」と「将来」を比べると、今目の前にある利益や満足の方を優先しがちな好みをもっている(これを経済用語で双曲割引という)。それゆえ、遠い将来のことなら冷静に考えて賢い選択ができても、近い将来のことだと、たとえ小さくともすぐに得られる満足を大切にしてしまう。(p30)
 
「目先の利益や満足をつい優先してしまう」ということは、裏を返して、「眼の前にご褒美をぶら下げられると、今、勉強することの利益や満足が高まり、それを優先する」と著者は解説している。
 
こどもは目先の利益や満足につられてしまう、だから、ご褒美で釣る方法はあり、という論。  
 
効果的なご褒美
 
ご褒美は、「テストでよい点を取ればご褒美」よりも「本を読んだらご褒美」の方が効果的。
 
「テストの点数」などのこの先の遠い将来のアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」など今の近い将来へのインプットが重要である。
 
「テストの点数」という漠然としたアウトプットが目標である場合、どうすれば成績をあげられるのかという方法を教え導いてくれる人、存在が必要。
 
こどもに任せていてもこどもはその道筋を描けない。ご褒美の与え方にも注意が必要。このあたりまで読み込まないと、間違って解釈される恐れあり。
 
長くなりましたので以上にします。
ここまでお読みいただいた方、ありがとうございます。

【学力の経済学】人生の成功において重要な能力。

 
幼児教育の重要性
 
つづきです。
 
 
 
幼児教育の重要性を示す興味深いデータとして、シカゴ大ヘックマン教授らの研究結果が紹介されています。
 
ヘックマン教授らは、低所得者層のアフリカ系アメリカ人3〜4才のこどもを対象に「質の高い就学前教育」を受けたこどもたちとそうでないこどもたちを約40年間の追跡調査をした研究として、今でも高く評価されています。
 
質の高い就学前プログラムとは、具体的に
  • 幼稚園の先生は修士号以上の学位をもち児童心理学の専門家
  • こども6人を先生1人が担当する少人数制
  • 週5日、午前中2時間半の読み書き、歌などのレッスン
  • 家庭支援のための1週間に1度の家庭訪問
このような質の高いプログラムを受けたこどもたちは、そうでないこどもたちと比較して、
  • 6才時点でのIQが高い
  • 19才時点での高校卒業率が高い
  • 27才時点での持ち家率が高い
  • 40才時点での所得が高い
  • 40才時点での逮捕率が低い
“つまり、入学時点でのIQが高かっただけではなく、その後の人生において、学歴が高く、雇用や経済的な環境が安定しており、反社会的な行為に及ぶ確率も低かった”ことを指摘しています。(p78-p82) 
 
勉強だけが大事なのか
 
ただ、この結果のもうひとつの興味深い点は、小学校入学後のIQや学力テストの成績は上昇したが、この効果はごく短期的なものだったという点です。
 
IQの差は、小学校入学前(4〜5才ごろ)にはそれなりに大きかったものの、小学校入学(6才)とともに小さくなり、ついに8才前後で差がなくなってしまっています。”(p84)
 
つまり、IQや学力テストで示される認知能力の効果は8才頃で失われ、決して長期にわたって持続するのもではなかった、ということも報告されています。
 
一方で、学歴・年収・雇用などの面では長期的に大きな影響をもたらしたことも示されています。著者は、
このプロブラムによってこどもたちを変えたものは、「非認知スキル」または「非認知能力」であり、(略)将来の収入、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響することが明らかになってきた”(p86)
 
前出のヘックマン教授らは、学力テストでは計測することができない非認知能力が人生の成功において、極めて重要であることを強調している”(p87)
 
といっています。
 
じゃあ、その非認知スキル(非認知能力)ってなに?というのが気になります。
 
 
人生の成功において重要である能力
  
非認知能力とは、気質や性格のようなものであり、
  • 自分に対する自信、やり抜く力
  • やる気、意欲
  • 忍耐、根気
  • 意志力、精神力、自制心
  • メタ認知、理解度を把握する
  • リーダーシップ、社会性
  • 創造性
  • 好奇心、協調性、誠実
(p87の図より抜粋)
などをあげています。
 
その上で、著者はこれらのうち、人生の成功のために特に重要な能力として、自制心」と「やり抜く力です。
 
ここで著者が重要と定義する「非認知能力」とは、
学歴・年収・雇用などの面で、子どもの人生に長期にわたる因果関係を持ち教育やトレーニングによって鍛えて伸ばせることが、これまでの研究のなかで明らかになっているもの”です。(p89)
 
「やり抜く力」ついて、ペンシルバニア大学のダックワース准教授は「非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質」と定義しています。(p94)
また、ダックワース准教授は、「やり抜く力」が高い人はどんな状況でも成功する確率が高かったことを明らかにしています。(ダックワース准教授TED「成功のカギはやり抜く力」)
 
著者が著書の中で強調していることは、非認知能力の重要性であり、“非認知能力への投資は、子どもの成功にとって非常に重要であることが多くの研究で示されている”ということです。(p97)